バレンタインデーなので
どうもです。ごぶさたしております。居候のカムロです。
絶チルにたくさんの拍手ありがとうございました(ぺこぺこ)こんなに拍手もらったことないので、パニック状態です。
お返事が遅れておりまして、大変申し訳ありません。
もうちょっとお待ちください。
実は、先月末から身内が入院したり倒れたりでバタバタしておりました。
春コミの原稿に入ったり、今後も更新頻度は家主様の数十分の一ですが、よろしくお願いします。
今回は、家主さまから突然舞い込んできたメールに呼応して、喰霊の紀一です。
バレンタインネタです。
大丈夫って方のみ下をペロッとしてくださいな。
チョコレート☆パニック
その日、奇跡的に貰えたチョコ(というか、室長からのチョコ菓子詰め合わせ)を、桜庭一騎は嬉しそうに口に投げ込んでいた。
学校での収穫は零に終わり、生涯の獲得個数は昨日母親からもらった一つを加えた20である。
18歳の男子高校生としては普通だろうが、彼の親友はこの倍を今日一日で獲得していた。
しかも手作りや有名ブランドチョコばかりで、一騎が身内以外からもらったチロルチョコとはレベルが違う。
本気も本気。
中には黒い瘴気――もとい胸に秘めた恋心を放つものすらあった。
もてない一騎すらちょっと引いてしまうそれを、いつもの笑顔を崩すことなく受け取った親友をみて、初めてもてるのも考えものだなと思った。
ただ。
紙袋いっぱいになったチョコレートを見れば、婚約中の彼女がどう思うか。
考えただけで背筋が寒くなった。
嫌な想像をかき消すように、一騎はチョコ菓子を口の中に投げ込んだ。
ぽりぽり、かりかり。
ここに来てから十五分。
たけのこの里を空にして、きのこの山もほぼ制覇した。
次のアポロチョコに狙いを定めると、飽きれ混じりの吐息と共に、背中になにかがのしかかった。
「お前食べ過ぎ」
「うるさい。育ち盛りなんだよ。それに甘いの好きだし」
「なら貰ったチョコやろうか?」
上から目線な言い方に、一騎は拗ねるように唇を突き出した。無言のままアポロのパッケージを破り、三角錐の苺チョコをつまみあげる。
「いらねーよ。室長ので十分だし、貰ったものは責任持って食えよな」
「あのなぁ。もらったもの全部食べていたら糖尿になるだろ。俺は好きなコから貰ったものしか食べないと決めているの」
「好きでもないコからのチョコは食べないのかよ」
「だってその気持ちに応えられないのに、食べるだけ食べるって失礼だろ」
「………食べない方が失礼だと思うが?」
これだからモテる男は、表情だけで批難して一騎はアポロチョコを口に運んだ……つもりだった。
「紀之?」
唐突にチョコを持つ手を掴まれ、きょとんと背後の親友を振り返る。
目があったとたん、紀之の口元がにんまりと笑みを含んだ。嫌な予感がしたが、振り払うより先に、チョコごと指先が紀之の口腔へと飲み込まれる。
「うひゃ!?」
チョコを横取りするというよりも、指の腹から爪の先を丹念に舌でなぶる動きに、別の意図を感じて、一騎は硬直した。
「はい、ごちそうさま。さてとあとは黄泉だな」
じゃあなとひらひらと手を振って、紀之がドアの向こうに消える。その姿をしばし見送って、
「ぎゃ……--」
「あら一騎。チョコレートが欲しいのなら、私に言ってよ。紀之にあげようと思ったチョコ、食べさせてあげるから」
不意に降り懸かった黄泉という名の悪魔の声に、一騎は別の意味で悲鳴をあげるのだった。
「紀ちゃん」
「なんだ、神楽」
「逃げたでしょ」
「あー…、据え膳食わねば男の恥っていうだろ」
「………………紀ちゃん……」
END
ここまでありがとうございました。
なんとか間に合った(笑)
氷雨 カムロ 拝
2009/02/14UP
絶チルにたくさんの拍手ありがとうございました(ぺこぺこ)こんなに拍手もらったことないので、パニック状態です。
お返事が遅れておりまして、大変申し訳ありません。
もうちょっとお待ちください。
実は、先月末から身内が入院したり倒れたりでバタバタしておりました。
春コミの原稿に入ったり、今後も更新頻度は家主様の数十分の一ですが、よろしくお願いします。
今回は、家主さまから突然舞い込んできたメールに呼応して、喰霊の紀一です。
バレンタインネタです。
大丈夫って方のみ下をペロッとしてくださいな。
チョコレート☆パニック
その日、奇跡的に貰えたチョコ(というか、室長からのチョコ菓子詰め合わせ)を、桜庭一騎は嬉しそうに口に投げ込んでいた。
学校での収穫は零に終わり、生涯の獲得個数は昨日母親からもらった一つを加えた20である。
18歳の男子高校生としては普通だろうが、彼の親友はこの倍を今日一日で獲得していた。
しかも手作りや有名ブランドチョコばかりで、一騎が身内以外からもらったチロルチョコとはレベルが違う。
本気も本気。
中には黒い瘴気――もとい胸に秘めた恋心を放つものすらあった。
もてない一騎すらちょっと引いてしまうそれを、いつもの笑顔を崩すことなく受け取った親友をみて、初めてもてるのも考えものだなと思った。
ただ。
紙袋いっぱいになったチョコレートを見れば、婚約中の彼女がどう思うか。
考えただけで背筋が寒くなった。
嫌な想像をかき消すように、一騎はチョコ菓子を口の中に投げ込んだ。
ぽりぽり、かりかり。
ここに来てから十五分。
たけのこの里を空にして、きのこの山もほぼ制覇した。
次のアポロチョコに狙いを定めると、飽きれ混じりの吐息と共に、背中になにかがのしかかった。
「お前食べ過ぎ」
「うるさい。育ち盛りなんだよ。それに甘いの好きだし」
「なら貰ったチョコやろうか?」
上から目線な言い方に、一騎は拗ねるように唇を突き出した。無言のままアポロのパッケージを破り、三角錐の苺チョコをつまみあげる。
「いらねーよ。室長ので十分だし、貰ったものは責任持って食えよな」
「あのなぁ。もらったもの全部食べていたら糖尿になるだろ。俺は好きなコから貰ったものしか食べないと決めているの」
「好きでもないコからのチョコは食べないのかよ」
「だってその気持ちに応えられないのに、食べるだけ食べるって失礼だろ」
「………食べない方が失礼だと思うが?」
これだからモテる男は、表情だけで批難して一騎はアポロチョコを口に運んだ……つもりだった。
「紀之?」
唐突にチョコを持つ手を掴まれ、きょとんと背後の親友を振り返る。
目があったとたん、紀之の口元がにんまりと笑みを含んだ。嫌な予感がしたが、振り払うより先に、チョコごと指先が紀之の口腔へと飲み込まれる。
「うひゃ!?」
チョコを横取りするというよりも、指の腹から爪の先を丹念に舌でなぶる動きに、別の意図を感じて、一騎は硬直した。
「はい、ごちそうさま。さてとあとは黄泉だな」
じゃあなとひらひらと手を振って、紀之がドアの向こうに消える。その姿をしばし見送って、
「ぎゃ……--」
「あら一騎。チョコレートが欲しいのなら、私に言ってよ。紀之にあげようと思ったチョコ、食べさせてあげるから」
不意に降り懸かった黄泉という名の悪魔の声に、一騎は別の意味で悲鳴をあげるのだった。
「紀ちゃん」
「なんだ、神楽」
「逃げたでしょ」
「あー…、据え膳食わねば男の恥っていうだろ」
「………………紀ちゃん……」
END
ここまでありがとうございました。
なんとか間に合った(笑)
氷雨 カムロ 拝
2009/02/14UP
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