氷雨
こんにちは。mixiで三宅健太の記事を書くと三宅健と勘違いされるのかやたらにアクセス数が増えるのが困りものの辻斬りです。
本日は喰霊ネタです。
いや本当に絶チルを書かない家主で申し訳ございません・・・。
いっそ喰霊担当で良いかな?
というわけでなんか抽象的な涅槃コンビの話です。
アニメのネタバレを含んでいますので、喰霊のアニメを見たことがない人は注意した方が良いと思うけどそもそも喰霊見てる人少ないよなと思いつつ。
+++++++++++++++++++++++++
氷雨
珍しく雨が降った
外で彼が一人ぽつんと立っていて
何をしてるのと訊くと
頭を冷やしてるとだけ返って来た
生きていた頃と違う事が幾つか有る
此処では感情が恐ろしく穏やかに平坦に変わって
憎しみや悲しみや怒りという感情が薄らいでしまう
争いはこの地にふさわしくないのだろう
もしくは肉の器から離れる時に
私達の中から切り離されでもしたのだろう
なのに
雨が降るたび、窓の外には立ち尽くす姿が一つ
身体の無い私達は風邪を引かない
けれどあまりに寒々しい光景に
何度か傘を差し出したこともある
その度笑って首を横に振る彼は
冷たい雨に打たれることを
決して楽しんではいないようだった
なのにどうして雨に打たれるのか
頭を冷やしているとだけは聞いたけれど
それ以上深く問い詰めた事は無い
ある時また雨が降った
窓の外を見ることを忘れていたけれど
雨がやんですぐに外に出たら
ずぶ濡れの彼が倒れていた
風邪を引かないはずなのに
彼はそのまましばらく寝込んでしまった
偉い人が言うには
彼は肉の器から解き放たれて尚
心に強く焦がれる物を抱えているから
心が風邪を引いてしまっているのだと
それは多分、私も持っていた物だ
話を聞いてすぐにわかった
強く強く焦がれる余りに
私は彼の命をかつて奪った
彼の焦がれる想い諸共に
二度と叶わぬようにした
こちらに家族がいる私とは違い
彼の部屋には彼が一人きりで
独りきりの部屋で眠る彼は
苦しそうに目を閉じていた
偉い人が言うには
ある薬を飲めばたちどころに治り
もう二度と風邪も引かなくなるのだそうだ
けれども私は
貰った薬を結局彼に渡そうとはしなかった
彼の風邪はしばらくして治り
また私達は普段のように語り合う日々に戻った
偉い人に貰った薬は私の部屋にある
彼の風邪の原因は今も訊いてない
次に雨が降ったら
また彼は外で雨に打たれるのだろう
私はそれを窓から眺めるのだろう
倒れない程度に見張っているのだと言い訳も添えて
不治の病でも構わない
程度を忘れて倒れた時は私が看るのだから
きっと彼が雨に打たれる事を止めたら
それはこの日々が終わる時なのだろうと思う
薬の名前はAmnesia
効能は心の風邪の完治
永遠の心の平穏
ただし
引き換えに私と彼の過ごす日々も戻って来ない
薬はきっと永遠に
私の部屋の戸棚の中
終
+++++++++++++++++++++++++
≪言い訳≫
何としてでもドイツ語を探そうと思ったけど、英語の方が馴染みがあるよね。
2009年1月29日・辻斬りマリィ
本日は喰霊ネタです。
いや本当に絶チルを書かない家主で申し訳ございません・・・。
いっそ喰霊担当で良いかな?
というわけでなんか抽象的な涅槃コンビの話です。
アニメのネタバレを含んでいますので、喰霊のアニメを見たことがない人は注意した方が良いと思うけどそもそも喰霊見てる人少ないよなと思いつつ。
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氷雨
珍しく雨が降った
外で彼が一人ぽつんと立っていて
何をしてるのと訊くと
頭を冷やしてるとだけ返って来た
生きていた頃と違う事が幾つか有る
此処では感情が恐ろしく穏やかに平坦に変わって
憎しみや悲しみや怒りという感情が薄らいでしまう
争いはこの地にふさわしくないのだろう
もしくは肉の器から離れる時に
私達の中から切り離されでもしたのだろう
なのに
雨が降るたび、窓の外には立ち尽くす姿が一つ
身体の無い私達は風邪を引かない
けれどあまりに寒々しい光景に
何度か傘を差し出したこともある
その度笑って首を横に振る彼は
冷たい雨に打たれることを
決して楽しんではいないようだった
なのにどうして雨に打たれるのか
頭を冷やしているとだけは聞いたけれど
それ以上深く問い詰めた事は無い
ある時また雨が降った
窓の外を見ることを忘れていたけれど
雨がやんですぐに外に出たら
ずぶ濡れの彼が倒れていた
風邪を引かないはずなのに
彼はそのまましばらく寝込んでしまった
偉い人が言うには
彼は肉の器から解き放たれて尚
心に強く焦がれる物を抱えているから
心が風邪を引いてしまっているのだと
それは多分、私も持っていた物だ
話を聞いてすぐにわかった
強く強く焦がれる余りに
私は彼の命をかつて奪った
彼の焦がれる想い諸共に
二度と叶わぬようにした
こちらに家族がいる私とは違い
彼の部屋には彼が一人きりで
独りきりの部屋で眠る彼は
苦しそうに目を閉じていた
偉い人が言うには
ある薬を飲めばたちどころに治り
もう二度と風邪も引かなくなるのだそうだ
けれども私は
貰った薬を結局彼に渡そうとはしなかった
彼の風邪はしばらくして治り
また私達は普段のように語り合う日々に戻った
偉い人に貰った薬は私の部屋にある
彼の風邪の原因は今も訊いてない
次に雨が降ったら
また彼は外で雨に打たれるのだろう
私はそれを窓から眺めるのだろう
倒れない程度に見張っているのだと言い訳も添えて
不治の病でも構わない
程度を忘れて倒れた時は私が看るのだから
きっと彼が雨に打たれる事を止めたら
それはこの日々が終わる時なのだろうと思う
薬の名前はAmnesia
効能は心の風邪の完治
永遠の心の平穏
ただし
引き換えに私と彼の過ごす日々も戻って来ない
薬はきっと永遠に
私の部屋の戸棚の中
終
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≪言い訳≫
何としてでもドイツ語を探そうと思ったけど、英語の方が馴染みがあるよね。
2009年1月29日・辻斬りマリィ
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