SB 発端01
どうもです。居候のカムロです。
以前UPした話を、表記の矛盾などいろいろ直して再UPしております。
いろいろ聞いた家主様にはご迷惑を……次からは勢いでUPする前に数日ほど熟成してからここに持ってきます。ハイ。
ということで。
読まれる前に確認ですが、皆本が元エスパーのなんちゃって設定です。
賢皆←兵です。
家主とは違って居候はBL路線いきます。
以上おkですか?
大丈夫なら、続きをぺろっとクリックしてくださいませ。
以前UPした話を、表記の矛盾などいろいろ直して再UPしております。
いろいろ聞いた家主様にはご迷惑を……次からは勢いでUPする前に数日ほど熟成してからここに持ってきます。ハイ。
ということで。
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賢皆←兵です。
家主とは違って居候はBL路線いきます。
以上おkですか?
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Sleping Beauty
発端01
それはまだ、お互いの事を知り始めた時の事だった。
お堅い学者肌の皆本をなんとか言いくるめ、合コンに参加させた。
誘い文句は『こういうのも若いうちでないと経験できないだろう』だったと思う。
もちろん社会経験をさせてやるというのは建前で、本音は頭数をそろえたかっただけ。
コメリカ人女性二人との合コン。
しかも向こうから声をかけてきたという、男としてこれ以上ない状況で申し込まれた。
もちろん、断るという選択肢はない。
合コンというものに興味はあったし、レベル6の接触感応能力者の自分に自信があったのだろう。
危なくなったら相手の心を読めばいい。
だから待ち合わせ場所が、危ないと言われているクラブだったとしても、平気で踏み込むことができた。
それが浅慮だったことは、言うまでもない。
気づいたのは、客の一人が上げた罵声だった。
ひどいスラングで、意味を理解することはできなかったが、こういう場所ではよくあることなので、さほど気には留めなかった。
すぐに目の前の魅惑的な女性に視線を戻し、会話を続けようとする。
だが彼女らの興味は皆本にあるようで、賢木からふった会話はことごとく流されていった。
(なんだよ、俺が目当てで声かけてきたんじゃねーのかよ)
ありえない展開に、口先を拗ねるように突き出す。話をしようとしても無視されていてはどうしようもない。
こうなれば彼女らの本心を確かめて、どちら狙いなのかはっきりさせるしかない。
力を使う為、意識を高めた刹那、背中に生じた衝撃に賢木はげっと小さく呻いた。
リミッターをつけているとはいえ、男の心を読んでしまった不快さに顔をゆがめる。
時間つぶしの雑誌をめくるように、流れてきた情報を右から左へと流しかけた刹那。
賢木の表情がこわばった。
(ちょっとまて、今の男!)
あわてて振り返るが、背中でぶつかったこともあり、男を特定することは出来なかった。
たとえ顔を見ていたとしても、薄暗い店内とこの人ごみでは探すことは困難だろう。
それでも、見てしまった以上、無視はできない。
(まずい、アイツ銃持ってたぞ)
銃社会のこの国では、ライセンスさえあればノーマルでも人を殺せる武器を持つことが許される。
ノーマルもエスパーも指先一つで人を殺せるのだ。
だからエスパーもノーマルに対して容赦はしないし、ノーマルもエスパーに対して銃を放つことに躊躇いはない。
そんなお国事情だが、所持しているだけなら問題はない。
問題なのはこの場所と、彼の意識を支配していた感情だ。
エスパーに対する強い殺意。
しかもその相手はこの場所にいる。
『皆本、ここを出るぞ』
いきなりの日本語に、彼の両隣にいた女性がきょとんと目を瞬く。
「えー、まだ帰らないでしょ?」
「そうそう、まだまだ夜はこれからなんだからさ」
かろうじて聞き取れた皆本の名前と、真剣な賢木の表情に、先ほどの言葉を帰宅の意味だと悟ったらしい。普段なら喜んでこの場にとどまるのだが、今日ばかりはそれもできない。
(くそ、なんてもったいない!! こんな機会、めったにないのに!)
内心で涙を流して、賢木は彼女らにこちらの言葉で謝罪を告げる。
「悪い。急用ができちまった」
唇を尖らせる彼女らに謝りつつ、賢木はうつむいたままの皆本に呼び掛ける。
『皆本、緊急事態だ。早くここを出て電話して……皆本?』
言葉は届いているはずなのに、いつもの皆本が無反応なことに、賢木は眉を寄せた。
『おい、皆本?』
もう一度名前を呼ぶと同時に、彼の手に触れた。
とたん、ひどく乱れていた皆本の思考に、賢木は息をのむ。いつもは澄んだ小川のような清らかな思考が、濁流と化している。
流れ込んできた思考に賢木ははっと彼の前にあるグラスと、二人の美女を見上げた。
目が合ったとたん、青い瞳が妖艶に細められる。
「あら、私たちが誘ったのよ?」
「まだまだこれからじゃない」
「あんたら……まさか――」
なにを飲ませた?という問いは、いきなり響いた銃声にかき消された。
銃声の後、念動力の光が瞬く。
男の悲鳴の後、数発の銃声が轟いた。
銃声。
罵声。
破壊音。
悲鳴。
頭上の照明が壊され、暗闇に降り注いだガラスの雨が、さらにこの場を混乱させた。
厄介なことに恐怖にパニックになった感応力者が、恐怖と混乱を周囲に振りまき始める。耐性のないノーマルが恐怖に喰われ、持っていた銃を打ち始めた。
銃声に恐怖は広がり、弱いエスパーが恐怖を増幅し、増幅された恐怖がノーマルに感染する。
最悪の連鎖に、気付けば皆本を強く抱きしめていた。
「………っ」
触れたとたん、流れ込んできた彼の精神に賢木は苦痛の声を上げた。
力は使っていないはずだが、生命の危機にさらされて生存本能が全ての感覚を鋭敏にさせているのだろう。
皆本に触れた部分から、全開に近い強度で彼の意識が流れこんできた。
「くそ、きついな……」
ぐらぐらと揺れる彼の精神は、触れているだけでも賢木に負荷を与える。
おそらく幻覚剤系でも飲まされたのだろう。
気を抜けばこっちまで混乱する彼の意識に引きずりこまれそうだ。
「っ……」
だが、繋がったこの感覚をすぐに手放せなかった。
接触感応のようで、接触感応とは少し違う感覚に戸惑ったとも言える。
たとえるなら、盗聴するだけだったものが、電話のように会話できるようになった、というべきか。
いつもならこの現象の理由を探るのだろうが、これだけ混乱した周囲と苦しむ友人の姿を目の前にしていては、そんな余裕などない。
出来るのはただ彼の体を抱きしめることだけだ。
こんな場所で恐怖に狂えば、二度とまともに戻れない。
だから、彼だけは――
(俺はどうなってもいい。こいつだけはなんとか守らねぇーと)
賢木の決意は、つながった彼にも届いて――
ゆっくりと、皆本の目が開く。
暗闇での覚醒に、賢木が安堵の息をついた。
刹那。
届いた声に賢木は絶句する。
『……い――』
「皆本?」
『もう、大切な人はいらないんだ!!』
そして世界は、赤に塗りつぶされた。
Sleeping Beauty
発端 01
END
どうもです。ここまでお付き合いありがとうございました。
ということで、コメリカ時代をねつ造です(いきなりねつ造かアンタ。呆)
そして、設定にいろいろと矛盾がありましたのでそれを修正しました。
アニメで皆本達に賢木先生の声が届いているシーン(ダブルフェイス経由しての通話だったもの)が印象に残っていて、深夜の頭の沸き具合も手伝ってテレパスも使える?みたいな表記になっておりました。今回それを修正しております。
ご指摘ありがとうございました。
穴があったら入りたいです……いやむしろ掘ってでも入りたいです。
こんな奴がぼちぼち書いていきますが、最後までお付き合いいただきましたら嬉しく思います。
ありがとうございました。
2009年1月25日 初掲
2009年2月1日 修正
氷雨カムロ拝。
発端01
それはまだ、お互いの事を知り始めた時の事だった。
お堅い学者肌の皆本をなんとか言いくるめ、合コンに参加させた。
誘い文句は『こういうのも若いうちでないと経験できないだろう』だったと思う。
もちろん社会経験をさせてやるというのは建前で、本音は頭数をそろえたかっただけ。
コメリカ人女性二人との合コン。
しかも向こうから声をかけてきたという、男としてこれ以上ない状況で申し込まれた。
もちろん、断るという選択肢はない。
合コンというものに興味はあったし、レベル6の接触感応能力者の自分に自信があったのだろう。
危なくなったら相手の心を読めばいい。
だから待ち合わせ場所が、危ないと言われているクラブだったとしても、平気で踏み込むことができた。
それが浅慮だったことは、言うまでもない。
気づいたのは、客の一人が上げた罵声だった。
ひどいスラングで、意味を理解することはできなかったが、こういう場所ではよくあることなので、さほど気には留めなかった。
すぐに目の前の魅惑的な女性に視線を戻し、会話を続けようとする。
だが彼女らの興味は皆本にあるようで、賢木からふった会話はことごとく流されていった。
(なんだよ、俺が目当てで声かけてきたんじゃねーのかよ)
ありえない展開に、口先を拗ねるように突き出す。話をしようとしても無視されていてはどうしようもない。
こうなれば彼女らの本心を確かめて、どちら狙いなのかはっきりさせるしかない。
力を使う為、意識を高めた刹那、背中に生じた衝撃に賢木はげっと小さく呻いた。
リミッターをつけているとはいえ、男の心を読んでしまった不快さに顔をゆがめる。
時間つぶしの雑誌をめくるように、流れてきた情報を右から左へと流しかけた刹那。
賢木の表情がこわばった。
(ちょっとまて、今の男!)
あわてて振り返るが、背中でぶつかったこともあり、男を特定することは出来なかった。
たとえ顔を見ていたとしても、薄暗い店内とこの人ごみでは探すことは困難だろう。
それでも、見てしまった以上、無視はできない。
(まずい、アイツ銃持ってたぞ)
銃社会のこの国では、ライセンスさえあればノーマルでも人を殺せる武器を持つことが許される。
ノーマルもエスパーも指先一つで人を殺せるのだ。
だからエスパーもノーマルに対して容赦はしないし、ノーマルもエスパーに対して銃を放つことに躊躇いはない。
そんなお国事情だが、所持しているだけなら問題はない。
問題なのはこの場所と、彼の意識を支配していた感情だ。
エスパーに対する強い殺意。
しかもその相手はこの場所にいる。
『皆本、ここを出るぞ』
いきなりの日本語に、彼の両隣にいた女性がきょとんと目を瞬く。
「えー、まだ帰らないでしょ?」
「そうそう、まだまだ夜はこれからなんだからさ」
かろうじて聞き取れた皆本の名前と、真剣な賢木の表情に、先ほどの言葉を帰宅の意味だと悟ったらしい。普段なら喜んでこの場にとどまるのだが、今日ばかりはそれもできない。
(くそ、なんてもったいない!! こんな機会、めったにないのに!)
内心で涙を流して、賢木は彼女らにこちらの言葉で謝罪を告げる。
「悪い。急用ができちまった」
唇を尖らせる彼女らに謝りつつ、賢木はうつむいたままの皆本に呼び掛ける。
『皆本、緊急事態だ。早くここを出て電話して……皆本?』
言葉は届いているはずなのに、いつもの皆本が無反応なことに、賢木は眉を寄せた。
『おい、皆本?』
もう一度名前を呼ぶと同時に、彼の手に触れた。
とたん、ひどく乱れていた皆本の思考に、賢木は息をのむ。いつもは澄んだ小川のような清らかな思考が、濁流と化している。
流れ込んできた思考に賢木ははっと彼の前にあるグラスと、二人の美女を見上げた。
目が合ったとたん、青い瞳が妖艶に細められる。
「あら、私たちが誘ったのよ?」
「まだまだこれからじゃない」
「あんたら……まさか――」
なにを飲ませた?という問いは、いきなり響いた銃声にかき消された。
銃声の後、念動力の光が瞬く。
男の悲鳴の後、数発の銃声が轟いた。
銃声。
罵声。
破壊音。
悲鳴。
頭上の照明が壊され、暗闇に降り注いだガラスの雨が、さらにこの場を混乱させた。
厄介なことに恐怖にパニックになった感応力者が、恐怖と混乱を周囲に振りまき始める。耐性のないノーマルが恐怖に喰われ、持っていた銃を打ち始めた。
銃声に恐怖は広がり、弱いエスパーが恐怖を増幅し、増幅された恐怖がノーマルに感染する。
最悪の連鎖に、気付けば皆本を強く抱きしめていた。
「………っ」
触れたとたん、流れ込んできた彼の精神に賢木は苦痛の声を上げた。
力は使っていないはずだが、生命の危機にさらされて生存本能が全ての感覚を鋭敏にさせているのだろう。
皆本に触れた部分から、全開に近い強度で彼の意識が流れこんできた。
「くそ、きついな……」
ぐらぐらと揺れる彼の精神は、触れているだけでも賢木に負荷を与える。
おそらく幻覚剤系でも飲まされたのだろう。
気を抜けばこっちまで混乱する彼の意識に引きずりこまれそうだ。
「っ……」
だが、繋がったこの感覚をすぐに手放せなかった。
接触感応のようで、接触感応とは少し違う感覚に戸惑ったとも言える。
たとえるなら、盗聴するだけだったものが、電話のように会話できるようになった、というべきか。
いつもならこの現象の理由を探るのだろうが、これだけ混乱した周囲と苦しむ友人の姿を目の前にしていては、そんな余裕などない。
出来るのはただ彼の体を抱きしめることだけだ。
こんな場所で恐怖に狂えば、二度とまともに戻れない。
だから、彼だけは――
(俺はどうなってもいい。こいつだけはなんとか守らねぇーと)
賢木の決意は、つながった彼にも届いて――
ゆっくりと、皆本の目が開く。
暗闇での覚醒に、賢木が安堵の息をついた。
刹那。
届いた声に賢木は絶句する。
『……い――』
「皆本?」
『もう、大切な人はいらないんだ!!』
そして世界は、赤に塗りつぶされた。
Sleeping Beauty
発端 01
END
どうもです。ここまでお付き合いありがとうございました。
ということで、コメリカ時代をねつ造です(いきなりねつ造かアンタ。呆)
そして、設定にいろいろと矛盾がありましたのでそれを修正しました。
アニメで皆本達に賢木先生の声が届いているシーン(ダブルフェイス経由しての通話だったもの)が印象に残っていて、深夜の頭の沸き具合も手伝ってテレパスも使える?みたいな表記になっておりました。今回それを修正しております。
ご指摘ありがとうございました。
穴があったら入りたいです……いやむしろ掘ってでも入りたいです。
こんな奴がぼちぼち書いていきますが、最後までお付き合いいただきましたら嬉しく思います。
ありがとうございました。
2009年1月25日 初掲
2009年2月1日 修正
氷雨カムロ拝。
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