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エンドレスワルツ(喰霊小ネタ+おまけ)

こんにちは。
つい昨日まで紫穂ちゃんを『志穂ちゃん』と入力してました愚か者です。
や、家主の辻斬りです。
本日やっとこさ辞書登録もし、涼宮ハルヒは『消失編』突入いたしました。射手座まであと少しです。
がんばるぞーい。


本日の更新は土曜日の超自然災害ラジオ対策室でスタッフの皆様の口から恐らくは冗談半分で零れ落ちたのであろう喰霊第二期アニメプロット設定をこっそり拾って捏造してこねくり回した結果生れ落ちた奇妙な小ネタになります。
全くの捏造でほぼパラレルに近い作品ですので広い心をお持ちのお客様だけ閲覧頂くようお願いいたします。
と、相変わらず資料が全く無いのですけれどもリベンジしてみたあのアニメのキャラも落書き一枚投下しときます。



+++++++++++++++++++++++++

エンドレスワルツ












その昔ある有名な歌手が初めてこの地を目指した日、乗り込んだタクシーで運転手に向かってこう言ったそうだ。

「世界の中心に連れてって!」

運転手は快諾し、数時間後彼女はニューヨークのど真ん中に突っ立ってたってましたとさ。
で、そんなエピソードを持っている世界の中心で俺は何をしてるかって?

「・・・やべぇ。超やべぇ」

迷子になっていた。
意外とさ、名所は知ってても名所の裏手の曲がり角を通り過ぎると何があるとか、知らない人多いよな。
俺も勿論その一人さ!
自慢じゃないがガイドブック持ってないと右も左もわかんねぇついでに言葉も通じねぇ!

「なあポン助、お前どうする?こっからどう行く?」
「キュ?」
「・・・」
「キュ?」
「・・・ですよねー」

リュックの中にこっそり入れて連れて来た相棒に話しかけてみたが、いかんせん相手は狸だ。
ちょっと変わった特技は持ってるけど人間の言葉なんざ喋れ無ぇ。
此処は合衆国の経済と芸術の中心地。
公用語は英語。
俺が喋れるのは日本語。
(ヒアリング?何それ美味しい?)
相棒は狸。
ガイドブックはうっかり成田のトイレに置いて来ちまいました。
行き先の住所のメモを挟んだままで。
ハイ、絶望的ですね。

「・・・チクショー・・・」

悪態もつきたくなるってもんだ。
そもそもなんで俺がこんな言葉も通じない国に来る羽目になったかって言うと・・・。









二週間ぐらい前、
記憶が正しければ丁度一学期の期末テストの結果が返ってきたくらいだったか。
何とか夏休みの補修を免れる程度のギリギリ綱渡りな俺の成績を一瞥した親父が夕食の後こうのたまった。

「お前ちょっとNYに行って来い」

パスポートなら先月母さんと俺の更新分ついでに用意して置いた後はお前が予防注射受けるだけださあとっとと行って来いと無駄に濃いい髭をわしわしさすりながらの宣告だった。
勝手に人のパスポート作るなよ馬鹿親父。
しかし、反論しようにもその時既に俺には拒否権すら残されていなかった。
次の日問答無用で予防注射受けに行かされ、荷物はどうのこうのと言う説明を受け、夏休み始まってからの友達との約束に泣く泣くキャンセルの電話を入れる羽目になった。
むかつくのはキャンセルの連絡を入れた先でダチが、

「え、お前NY行くの?マジで?じゃあ土産買って来いよ向こうのエロ本とか。それで許すから」

と暢気に笑ってやがったことだ。
あの野郎日本戻ってきたら覚悟しやがれ。
土産は土産でも虫入りキャンディーの詰め合わせ買って来てやるからな。
てめぇに洋物のビニ本は十年早ぇ!
(というか俺達高校生だしね)
まあ、土産も日本に帰ってからのことも、まずはこの国で逢うべき人と合流して用事を済ませてからじゃないといけないわけで、言葉の通じない国で一人立ち往生してる俺には今現在その目的達成の目処が全く立っていないという問題があるわけだ。
どうしようね。
親父が、そういえばこの辺の警察はあてにならないからまず迷った時は日本人に見えるアジア系の顔の奴を探しなさい出来ればウォール街辺りを忙しそうに歩いてる真面目そうなスーツ姿の人、って言ってたな。
繁華街にいるフランクな格好の兄さん姉さんだと俺が詐欺でカモられる可能性が高いらしい。
詐欺ってなんだよ、何でそんなに治安悪いの世界の中心。
文句を垂れた俺に、親父は笑って、

「世界の中心っつったって自称だぞ?」

とかなんとか言ってたのを思い出す。
結局何を思い出そうが俺の今の状況は変わらないわけだ。
やばいね。
コレは本格的にやばい。
まさか親父も俺がこんなところで迷子になってるとは思わないだろう。

「・・・はっ!」

もう一つ思い出す。
そういえば母さんが俺に持たせてくれた物があったじゃあないか。
困った時は街中でコレを人に見せなさいって!
ナイスだぜ母さん!
あれこれ有った所為ですっかり薄らいでいる記憶を頼りに荷物の奥の方、リュックの内側の袋にしまわれていたそれを取り出す。
それは、写真をポスターサイズに拡大した物を折り畳んだ状態で入っていた。

「?」

広げてみてあらびっくり。
それは爺ちゃんと婆ちゃんの写真だった。
この大都市で俺が合流しなければならない二人の写真だ。
本人の写真を道行く人に見せてこの人知りませんか?って尋ねていけば良いんだな。
中々良いアイディアだぜ母さん!
生写真保存してたなんてすげえぜ母さん!
ただし、若い頃の二人の写真を。
(おおーいどっちも学生服だよいつの時代だよ!)
ちなみに俺の爺ちゃん婆ちゃんは余裕で70を過ぎている。
50年以上前の写真で本人探せとかどんだけ鬼畜バラエティだよ母さん!
しかもその写真の下にはでっかでかと赤い油性マジックで『WANTED!』と書いてある。
・・・母さん、これ『指名手配』って意味だぜ?
流石にそれは英語のわからない俺でも知ってるんだぜ?

「・・・」

頭痛がして来た。
大丈夫か俺の家族。
生きて日本に帰れるのか俺。
相棒を抱きかかえ、途方に暮れて街灯の横で座り込む。
腕の中であたたかい感触がもごもごと苦しそうにもがく気配がして、其処だけ少し力を緩めた。
うつむいた先に見えるのは行きかう人の靴の群れ。
聞こえてくるのは意味のわからない言語ばかり。
海外で迷子になるのがコレほど精神的苦痛だとは思っても見なかった。
この際警察の世話にでもなってみるってのはどうだろうか。
信用ならないとか言葉が通じないとかはさておき飯にはありつけそうな気がする。

「ちょっと其処の君、大丈夫?」

大丈夫じゃないから座り込んでまーす・・・。
って、日本語が頭上から降って来た!?

「え、俺!?」

振り仰ぐとそこには黒い髪に黒い瞳。
いかにもその辺歩いてそうな軽い格好だが、悪人には見えない。
俺と同じくらいの年恰好の女の子が俺を見下ろして立っていた。
しかも可愛い。
救いの神って本当にいるんだなってこの瞬間思った。

「ねえ、もしかして迷子?」
「・・・お恥ずかしながらその通りです・・・」

かくかくしかじかと事情を説明し、コレでわかるかどうか知らないけどと、さっきの拡大した写真を見せたらば、

「あれ、これもしかして土宮さんじゃない?」
「え、わかんの?」
「私の家の近所に住んでる爺ちゃん婆ちゃん。同じ写真飾ってるから多分そうじゃないかな」

神よ!!!
こんなところでなんという運命的な偶然の出会いだろうか。
俺はこのチャンスを逃したら行き倒れると思い、咄嗟に声を上げていた。

「お、俺その二人の孫なんだ!これから会いに行く途中で、その、良かったら」

ちょっと自分でも馬鹿じゃないかと思うくらいの大きな声が出た。
白状するが俺は今まで女の子と二人っきりになれたことなんて無いしナンパなんていうものもしたことが無い。
だからこういう時にどの程度の音量とテンションで喋れば良いのかなんてわからなかった。
女の子は結構びっくりしたらしくて目を丸くしている。

「・・・もしかして道案内が必要?」
「えーと・・・そうです」

だいぶ恥ずかしかったが頷くと、彼女はにこっと笑って「いいよ」と言ってくれた。
(その笑顔の何と可愛い事か)
ついでに地下鉄の乗り換え方法も伝授してくれるらしい。
何て幸運な事だろう。
さっきまでの絶望的状況はこの瞬間までの前振りだったに違いない。
とりあえず今日は神に感謝する日にしよう。







「俺、土宮剣太郎っていうんだ。君は?」

地下鉄に向かう道すがら俺は改めて自分の名前を名乗る。
すると俺の先導として歩く彼女が、長い黒髪をさらりと揺らしながら振り返った。

「私は黄泉。よろしくね、剣太郎君」

此処からが俺の旅の本当の始まり。
そんな気がした。
きっとこの夏休みは、忘れられない経験になりそうだった。










+++++++++++++++++++++++++

≪言い訳タイム≫

ラジオ第14回配信分で伊藤Pが口走ったアニメ第二期プロットを元ネタにちょっと遊んでみた。
神楽の孫の名前が『土宮剣太郎』で『NYに行く』という設定だけしか拾ってませんが。
タイトルは有名な某ガ○ダムの劇場版ではなく、中学生の頃読んだ小説より。
続きは考えておりません。

2009年1月19日・辻斬りマリィ

と、↓はリベンジしてみたニヤケハンサム(原作の記述より)様。

kzm.jpg

中の人が実は大好きです。

ニコニコ動画で発見しちまった白石のBL素材は本人の名前でタグ検索すると見つかると思うよ。
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Cordyceps(冬虫夏草)は、辻斬りマリィと氷雨カムロによる『絶対可憐チルドレン』と『喰霊』中心腐女子ブログサイトです。

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