04 眼鏡
今晩は。居候のカムロです。
OVA解禁が近いせいか、奇跡の連続UPです。
ちょっとBLっぽくなってきました。ので、苦手な方はリターンプリーズ。
家主様、この程度はOKですか?
ですよね。うん。
次回、もうちょっといきますから(←え)
タイトルがそろそろ思いつきでつけるのがしんどくなってきました。
でも、今回は眼鏡だし。
ではでは、大丈夫な方だけどうぞです。
Sleeping Beauty
04 眼鏡
気がつくとそこは見慣れない部屋だった。
黒を基調としたインテリアに、雑然と積まれた本と服からして男の一人暮らしなのだろう。
眼鏡があれば本や服からこの部屋の持ち主を推測できただろうが、ぼんやりとした視界ではそれもできそうにない。
では誰の部屋かと記憶を探っていると、鼻先をかすめた匂いに目を瞬いた。
この匂いには覚えがある。
「賢木……か?」
手近なシーツを鼻先に押し付けて、匂いを確認する。
確かに親友と同じ匂いに、安堵から笑みがこぼれた。
「なにやってんの?」
「っ!?」
あまりにもタイミング良く降り注いだ声に、慌ててシーツから顔を離す。
声がした方を振り仰ぐと、ぼんやり見えた人影はにやにやと笑っているようだった。
「見てたなら声ぐらいかけろ」
「かけようとしたさ。そしたらお前が――」
「悪かったなッ! 見えないんだから、視覚以外で情報を得て何が悪い」
「悪かねぇけどよ、あー、やっぱ眼鏡いる?」
「? あたりまえだろ」
きょとんと首をかしげると、賢木は困った表情を浮かべた。
歯切れの悪い親友に、皆本はまさかと顔色を悪くした。
「あー心配するな、眼鏡は無事だ」
「ならなんで」
「ここ、どこだかわかるか?」
問われ、皆本は改めて周囲に視線を巡らせる。
見覚えのない部屋ではあるが、話からして親友の部屋であるのは間違いない。
「おまえの……下宿先?」
「そう。初めての俺の部屋だ。それでもって俺は毎日学業と、ナンパで忙しいわけよ」
「学業だけじゃないのが、不毛だな」
「つまり、ここには着替えと寝に帰ってきているだけでさ」
その続きは何となく予想できた。
あまり家に帰っていない、一人暮らし男子の部屋。
ごみ屋敷とまでは行かないが、盛大に散らかっているのだろう。さっきから賢木がまっすぐベッドに近づいてこないのも、足の踏み場がないほど散らかっている証拠。
この部屋でモノが積み重なっていないのは、このベッドぐらいなのだろう。
そんな部屋を見せたくない。
といったところだろう。
肺の中の空気をすべて吐き出すような息をついて、皆本は親友を見上げた。
「だから毎回僕の部屋だったわけか」
日本ならともかく、コメリカの夜は治安が急に悪化する。いくら男子とはいえ、ひとりで歩くには危険すぎるため、タクシーを拾う経済力のない学生は深夜を回った時は遊びに行った仲間の家に泊まる事が多い。毎回自分の部屋だったことは特に気にしていなかったが、この部屋の惨状を見て理解した。
確かにこの部屋で二人寝るのは難しい。
「悪いな、片づけるのは苦手でよ」
「気にしてないよ」
わずかに苦笑して、皆本はゆっくりと体を起こした。
が。
力の入らない体に、目を見開く。
驚きに目を見開いていると、賢木の手が額に触れてきた。
「やっぱりな」
親友の険しい表情に、皆本は目を細める。
「おまえ、夕べの記憶どこまである?」
「記憶って…」
戸惑いながらも、夕べの記憶を探る。
昨夜は向こうから人物と場所を指定してきた合コン。
あまりいい噂のないクラブでの飲み会は、自分が未成年ということもあってノンアルコールカクテルで始まった。
重低音が響く店内は、顔を近づけないと相手の声が聞こえないほどで、女の子の方から積極的に顔を寄せて話してきたのを覚えている。その距離が少し苦手ではあったが、賢木が楽しそうに話しているのを見て――。
世界が回った。
「記憶が、ない?」
綺麗に抜け落ちている記憶と、回った世界に皆本の顔色が青ざめる。
「すまん。俺の人選ミスだ。まさか、クスリ使ってくるとは思わなかった」
「クスリ?」
「媚薬だよ」
さらりと告げられた名前に、ぴしりっと皆本は硬直する。
「最近はやっているらしい。軽い睡眠薬と催淫剤が混ざったやつだから、依存性はないんだが……」
賢木の視線がゆっくりと下へと向かう。
見るなと叫びそうになったが、医師の顔をした親友に、その言葉をのみ込んだ。
涙目になりながらその視線を追う。
なんとなく違和感はあった。自分だって年頃の男の子だから、こういう経験がないわけではない。
確かに始めは戸惑ったが、生理現象だと知ったあとは、そのメカニズムも宥め方も知識の一つとして持っている。
だが、親友の前でとなると話は別だ。
恥ずかしくて、穴があれば入りたい。
「しっかり反応してんな」
「言うなこのバカッ!」
04 眼鏡
終
ここまでありがとうございました。
OVA解禁が近いせいか、奇跡の連続UPです。
ちょっとBLっぽくなってきました。ので、苦手な方はリターンプリーズ。
家主様、この程度はOKですか?
ですよね。うん。
次回、もうちょっといきますから(←え)
タイトルがそろそろ思いつきでつけるのがしんどくなってきました。
でも、今回は眼鏡だし。
ではでは、大丈夫な方だけどうぞです。
Sleeping Beauty
04 眼鏡
気がつくとそこは見慣れない部屋だった。
黒を基調としたインテリアに、雑然と積まれた本と服からして男の一人暮らしなのだろう。
眼鏡があれば本や服からこの部屋の持ち主を推測できただろうが、ぼんやりとした視界ではそれもできそうにない。
では誰の部屋かと記憶を探っていると、鼻先をかすめた匂いに目を瞬いた。
この匂いには覚えがある。
「賢木……か?」
手近なシーツを鼻先に押し付けて、匂いを確認する。
確かに親友と同じ匂いに、安堵から笑みがこぼれた。
「なにやってんの?」
「っ!?」
あまりにもタイミング良く降り注いだ声に、慌ててシーツから顔を離す。
声がした方を振り仰ぐと、ぼんやり見えた人影はにやにやと笑っているようだった。
「見てたなら声ぐらいかけろ」
「かけようとしたさ。そしたらお前が――」
「悪かったなッ! 見えないんだから、視覚以外で情報を得て何が悪い」
「悪かねぇけどよ、あー、やっぱ眼鏡いる?」
「? あたりまえだろ」
きょとんと首をかしげると、賢木は困った表情を浮かべた。
歯切れの悪い親友に、皆本はまさかと顔色を悪くした。
「あー心配するな、眼鏡は無事だ」
「ならなんで」
「ここ、どこだかわかるか?」
問われ、皆本は改めて周囲に視線を巡らせる。
見覚えのない部屋ではあるが、話からして親友の部屋であるのは間違いない。
「おまえの……下宿先?」
「そう。初めての俺の部屋だ。それでもって俺は毎日学業と、ナンパで忙しいわけよ」
「学業だけじゃないのが、不毛だな」
「つまり、ここには着替えと寝に帰ってきているだけでさ」
その続きは何となく予想できた。
あまり家に帰っていない、一人暮らし男子の部屋。
ごみ屋敷とまでは行かないが、盛大に散らかっているのだろう。さっきから賢木がまっすぐベッドに近づいてこないのも、足の踏み場がないほど散らかっている証拠。
この部屋でモノが積み重なっていないのは、このベッドぐらいなのだろう。
そんな部屋を見せたくない。
といったところだろう。
肺の中の空気をすべて吐き出すような息をついて、皆本は親友を見上げた。
「だから毎回僕の部屋だったわけか」
日本ならともかく、コメリカの夜は治安が急に悪化する。いくら男子とはいえ、ひとりで歩くには危険すぎるため、タクシーを拾う経済力のない学生は深夜を回った時は遊びに行った仲間の家に泊まる事が多い。毎回自分の部屋だったことは特に気にしていなかったが、この部屋の惨状を見て理解した。
確かにこの部屋で二人寝るのは難しい。
「悪いな、片づけるのは苦手でよ」
「気にしてないよ」
わずかに苦笑して、皆本はゆっくりと体を起こした。
が。
力の入らない体に、目を見開く。
驚きに目を見開いていると、賢木の手が額に触れてきた。
「やっぱりな」
親友の険しい表情に、皆本は目を細める。
「おまえ、夕べの記憶どこまである?」
「記憶って…」
戸惑いながらも、夕べの記憶を探る。
昨夜は向こうから人物と場所を指定してきた合コン。
あまりいい噂のないクラブでの飲み会は、自分が未成年ということもあってノンアルコールカクテルで始まった。
重低音が響く店内は、顔を近づけないと相手の声が聞こえないほどで、女の子の方から積極的に顔を寄せて話してきたのを覚えている。その距離が少し苦手ではあったが、賢木が楽しそうに話しているのを見て――。
世界が回った。
「記憶が、ない?」
綺麗に抜け落ちている記憶と、回った世界に皆本の顔色が青ざめる。
「すまん。俺の人選ミスだ。まさか、クスリ使ってくるとは思わなかった」
「クスリ?」
「媚薬だよ」
さらりと告げられた名前に、ぴしりっと皆本は硬直する。
「最近はやっているらしい。軽い睡眠薬と催淫剤が混ざったやつだから、依存性はないんだが……」
賢木の視線がゆっくりと下へと向かう。
見るなと叫びそうになったが、医師の顔をした親友に、その言葉をのみ込んだ。
涙目になりながらその視線を追う。
なんとなく違和感はあった。自分だって年頃の男の子だから、こういう経験がないわけではない。
確かに始めは戸惑ったが、生理現象だと知ったあとは、そのメカニズムも宥め方も知識の一つとして持っている。
だが、親友の前でとなると話は別だ。
恥ずかしくて、穴があれば入りたい。
「しっかり反応してんな」
「言うなこのバカッ!」
04 眼鏡
終
ここまでありがとうございました。
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