03 疑惑
どうも、居候のカムロです。もうすぐOVA発売ですね。
ということで、長編更新でございます。
家主様はデュララを更新なさってますが…すみません、何にも貢献できない居候で(平伏)またカラオケいきましょう~。あと、OVAとキャラソン手に入ったら鑑賞会しませんか?(ブログ上で誘うな)
ということで、絶チル長編です。
賢木せんせーターンです。
いい加減コメリカ編脱出しなきゃ、話が進まないんですが……そこはその、勢いで描いちまったんで(反省)
あ、今回からタイトルの付け方かえました。
先に話数が来て、サブタイです。
ややこしくてすみません。
では。
Sleeping BEAUTY 03 疑惑
その後、運よく通りかかった長距離トラックを捕まえて、日が昇る前には街の下宿先に戻る事が出来た。
いつもなら己の下宿ではなく、親友の下宿先(そっちのが綺麗だから)になだれ込んでいるところだが、数時間前の出来事を思うと、なんとなくこちらの方が安全な気がするのだ。
まあ、あくまでも気休めでしかないのだが。
目ざまし代わりのコーヒーを片手に、賢木は飛び込んできたばかりの朝刊を“読ん”だ。
自分の能力は超度6のサイコメトリー。
数百ページの本でもこの能力を使えば一瞬で読破できる。
その力を使ってページを開くことすら読み終えた新聞には、昨夜の一件はどこにも記載されていなかった。
「やっぱりな」
小さく息をついて、役目を終えた新聞をテーブルの上に投げ捨てる。
まだ新聞社が拾えていないだけならいい。
だが、インターネット上でそれらしい書き込みがあったにも関わらず、次の瞬間には違うものに差し替えられていた。
明らかな工作の痕に、賢木は目を細めた。
確かに自分の記憶には、あの惨状が残っている。
血と悲鳴と硝煙のにおい。
悲惨なあの光景は忘れたくてもしばらくは忘れられそうにもない。
だからあれは事実なはずだ。
己の手を見つめた後、眠る皆本を見下ろす。
安らかな寝息を立てる彼をしばらく見つめて、賢木はその額に手を押しあてた。
(……やはり、な)
全能力を使って皆本から読み取ったのは、バーで飲みつぶれた記憶だけ。
しかも誰とどこで飲んだのかも曖昧で、ただ自分と一緒だった事だけが鮮明に残されている。
自分と覚えている記憶とは違う記憶。
彼の中にはあのバーに行った事も、あの事件もきれいに抜け落ちていた。
明らかに細工された記憶に、賢木は唇をかみしめる。
誰がとは愚問だろう。
記憶の改ざんなんて、そうそう簡単にできる事ではない。
できたのは、あの自分ですら気配のつかめなかった謎の高超度エスパー。
銀髪の、むかつくやろうだけだ。
(あの野郎、ほんとにこいつになにしたんだよ)
くしゃりと前髪をなでて、目を覚ます気配のない親友を眺める。
出会いこそ衝撃的だったが、だからこそ今では大切な普通人の親友。
失いたくないと思えた、唯一無二の存在。
見た目とは違い、こいつの人生が順風満帆でなかったことは知っている。
天才だからと疎外され、こんな遠い地に派遣された、普通人の異端児。
そう思っていた。
頬に触れていた手をわずかに離し、逡巡してから再び彼に触れる。
どんなことも触れたらわかる超度6のサイコメトラー。
知りたいと思ったらこの能力でどんな事でも、どんな過去でも踏み込んできた。
本気を出せば、こいつの過去に踏み込むことだってできる。
けれどそれは、今まで築いてきた信頼関係を崩してしまいそうで。
脳裏に浮かぶのは、膝を折った銀髪の男の姿。とても大切そうに、そして愛おしそうに見つめる眼差しは、こいつの存在をとても待ち望んでいるようだった。
そしてこの体に残る、あのクラブでの感覚と悲鳴。
あれは確かに親友から放たれたものだった。
『もう、大切な人はいらないんだ!』
慟哭と、彼から流れ込んできた赤いイメージ。
あまりにも強烈すぎるイメージに情けなくも意識を失った。
だからもう一度確かめたい。
彼の身に何が起きたのか。
だけどそれは……
ゆっくりと賢木の手が離れる。
代わりに両腕でその体を抱きしめた。
「皆本、おまえ……何者なんだよ」
はじめて踏み込むことが怖いと感じた瞬間だった。
03 疑惑 終
ここまでありがとうございました。
ということで、長編更新でございます。
家主様はデュララを更新なさってますが…すみません、何にも貢献できない居候で(平伏)またカラオケいきましょう~。あと、OVAとキャラソン手に入ったら鑑賞会しませんか?(ブログ上で誘うな)
ということで、絶チル長編です。
賢木せんせーターンです。
いい加減コメリカ編脱出しなきゃ、話が進まないんですが……そこはその、勢いで描いちまったんで(反省)
あ、今回からタイトルの付け方かえました。
先に話数が来て、サブタイです。
ややこしくてすみません。
では。
Sleeping BEAUTY 03 疑惑
その後、運よく通りかかった長距離トラックを捕まえて、日が昇る前には街の下宿先に戻る事が出来た。
いつもなら己の下宿ではなく、親友の下宿先(そっちのが綺麗だから)になだれ込んでいるところだが、数時間前の出来事を思うと、なんとなくこちらの方が安全な気がするのだ。
まあ、あくまでも気休めでしかないのだが。
目ざまし代わりのコーヒーを片手に、賢木は飛び込んできたばかりの朝刊を“読ん”だ。
自分の能力は超度6のサイコメトリー。
数百ページの本でもこの能力を使えば一瞬で読破できる。
その力を使ってページを開くことすら読み終えた新聞には、昨夜の一件はどこにも記載されていなかった。
「やっぱりな」
小さく息をついて、役目を終えた新聞をテーブルの上に投げ捨てる。
まだ新聞社が拾えていないだけならいい。
だが、インターネット上でそれらしい書き込みがあったにも関わらず、次の瞬間には違うものに差し替えられていた。
明らかな工作の痕に、賢木は目を細めた。
確かに自分の記憶には、あの惨状が残っている。
血と悲鳴と硝煙のにおい。
悲惨なあの光景は忘れたくてもしばらくは忘れられそうにもない。
だからあれは事実なはずだ。
己の手を見つめた後、眠る皆本を見下ろす。
安らかな寝息を立てる彼をしばらく見つめて、賢木はその額に手を押しあてた。
(……やはり、な)
全能力を使って皆本から読み取ったのは、バーで飲みつぶれた記憶だけ。
しかも誰とどこで飲んだのかも曖昧で、ただ自分と一緒だった事だけが鮮明に残されている。
自分と覚えている記憶とは違う記憶。
彼の中にはあのバーに行った事も、あの事件もきれいに抜け落ちていた。
明らかに細工された記憶に、賢木は唇をかみしめる。
誰がとは愚問だろう。
記憶の改ざんなんて、そうそう簡単にできる事ではない。
できたのは、あの自分ですら気配のつかめなかった謎の高超度エスパー。
銀髪の、むかつくやろうだけだ。
(あの野郎、ほんとにこいつになにしたんだよ)
くしゃりと前髪をなでて、目を覚ます気配のない親友を眺める。
出会いこそ衝撃的だったが、だからこそ今では大切な普通人の親友。
失いたくないと思えた、唯一無二の存在。
見た目とは違い、こいつの人生が順風満帆でなかったことは知っている。
天才だからと疎外され、こんな遠い地に派遣された、普通人の異端児。
そう思っていた。
頬に触れていた手をわずかに離し、逡巡してから再び彼に触れる。
どんなことも触れたらわかる超度6のサイコメトラー。
知りたいと思ったらこの能力でどんな事でも、どんな過去でも踏み込んできた。
本気を出せば、こいつの過去に踏み込むことだってできる。
けれどそれは、今まで築いてきた信頼関係を崩してしまいそうで。
脳裏に浮かぶのは、膝を折った銀髪の男の姿。とても大切そうに、そして愛おしそうに見つめる眼差しは、こいつの存在をとても待ち望んでいるようだった。
そしてこの体に残る、あのクラブでの感覚と悲鳴。
あれは確かに親友から放たれたものだった。
『もう、大切な人はいらないんだ!』
慟哭と、彼から流れ込んできた赤いイメージ。
あまりにも強烈すぎるイメージに情けなくも意識を失った。
だからもう一度確かめたい。
彼の身に何が起きたのか。
だけどそれは……
ゆっくりと賢木の手が離れる。
代わりに両腕でその体を抱きしめた。
「皆本、おまえ……何者なんだよ」
はじめて踏み込むことが怖いと感じた瞬間だった。
03 疑惑 終
ここまでありがとうございました。
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