Cordyceps

　私は三宮紫穂。レベル７のサイコメトリー保持者。
　私の手は、触れればその人の内側まで見ることができる。


　見られたくないもの。

　見たくないもの。


　全力の私の前にはそんなもの関係なく『情報』として流れてくる。


　だから、初めてあの人に触れたとき、読めない部分があったことに驚いた。


　私ですら突破できないプロテクト。


　そんなものをノーマルの皆本さんがかけられるはずなんてない――そう思っていた。


　気付いたのは、普通の人々に拉致されたあの時。皆本さんの居場所を読み取ろうと、書類に触れた時だった。


　『なんで皆本ばかり……』


　怒りとともに流れ込んできた過去の事件。
　それは凄惨な事件を見てきた私でも、胸が痛くなる光景。

　血まみれの子どもと、たくさんの息絶えた大人。



　そして、血まみれの子どもが抱えた――




　　　
　さすがの私でも久しぶりにキタ光景だったわ。
　何かに気付いた賢木先生が止めなければ、残留思念だけで引きずり込まれるところだった。


　皆本さんは私たちと同じ、元特務エスパー。
　
　ううん。

　力はただ眠っているだけだから、『元』なんて付けるのはおかしいかしら。

　

　ねえ皆本さん。






　眠っていても世界は変わらないわ。






ＥＮＤ

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ありがとうございました。紫穂のターンです。
三人娘の中で事件の詳細を知るのは彼女だけ設定です。
あと二人。残るのは二人です。
ここまでありがとうございます。
２００９年１月１日
氷雨カムロ拝